3行サマリー
EU PPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation)は、EU域内に流通するすべての包装材を対象とした規則で、2026年8月12日から適用が開始されます。日本企業であっても、EU向けに製品を輸出する場合はPPWRの要件を満たす包装材の使用が求められます。対応の遅れはEU市場からの締め出しにつながるため、2026年前半までに包装材の見直しとサプライヤーとの協議を完了させる必要があります。
自分ごと判定チェックリスト
以下のいずれかに該当する場合、PPWRへの対応が必要です。
• EU加盟国に製品を輸出している(食品・化粧品・電子機器・日用品など業種を問わない)
• EU域内に子会社・販売拠点がある
• EU企業のサプライチェーンに組み込まれている(部品・原材料の供給)
• 包装材メーカーとしてEU向け包装を製造・供給している
PPWRの7つの持続可能性要件
2030年以降、以下の7要件を満たさない包装の商品はEU市場で販売できなくなります。
1. 有害物質の規制 — PFAS等の有害物質を含む包装材の使用制限
2. リサイクル可能性 — すべての包装材がリサイクル可能であること
3. 再生プラスチック含有率 — プラスチック包装に一定比率の再生材を含むこと
4. バイオベース原料 — バイオマス由来原料の使用推進
5. 堆肥化可能性 — 特定用途の包装に堆肥化可能性を求める
6. 包装の最小化 — 過剰包装の禁止(空間率・重量の上限設定)
7. 再利用可能な包装 — リユース包装の導入義務(飲料・輸送包装等)
再生プラスチック含有率の具体的目標
PPWRでは用途・材質別に再生プラスチックの最低含有率が定められています。
【2030年目標】PET製の食品接触包装: 30% / PET以外の食品接触包装: 10% / 使い捨てPETボトル: 30% / その他プラスチック包装: 35%
【2040年目標】PET製の食品接触包装: 50% / PET以外の食品接触包装: 25% / 使い捨てPETボトル: 65% / その他プラスチック包装: 65%
やること一覧(優先度順)
1. 【即時】自社製品のEU向け包装材の棚卸し — 材質・構成・リサイクル可能性の現状を把握する
2. 【2026年Q1まで】再生材含有率のギャップ分析 — 2030年目標に対する不足分を特定する
3. 【2026年Q2まで】包装材サプライヤーとの協議 — PPWR準拠の素材への切り替えスケジュールを確定する
4. 【2026年8月まで】拡大生産者責任(EPR)への対応準備 — PPWRではEU加盟国ごとにProducer Registerへの登録が求められます。各国の登録制度は2026年以降順次整備される見込みのため、輸出先国の最新情報を継続的に確認してください。
5. 【2028年8月まで】ラベリング・表示の更新 — 2028年8月12日から素材構成のピクトグラムラベルが義務化されます。リユース包装には2029年2月12日からQRコード付きラベルも必要になります。
素材転換の選択肢
PPWR対応のための素材転換は以下の方向性が考えられます。
• モノマテリアル化 — 複合素材から単一素材への切り替えでリサイクル可能性を確保する
• 再生PET(rPET)の導入 — 食品接触グレードの再生PETへの切り替え
• 紙・段ボールへの転換 — FSC認証取得済みの紙包装への切り替え
• リユース容器システムの導入 — 輸送包装を中心にリターナブル容器への移行
なお、素材転換にはコスト増が伴います。再生PETはバージンPETと比較して [要確認: 具体的な価格差の最新データ] の価格差があるとされています。導入にあたっては段階的な切り替え計画の策定が現実的です。
ラベリング要件のスケジュール
PPWRでは包装材へのラベル表示も段階的に義務化されます。2028年8月12日から、素材構成を示すピクトグラムベースのラベルが全包装に義務付けられます。消費者が分別しやすい統一デザインで、障害のある方にも分かりやすい表示が求められます。さらに2029年2月12日からは、リユース包装に対してQRコード付きラベル(素材構成・リサイクル可能性・リユース方法・回収拠点の情報を含む)が義務化されます。